【読書の記録】福岡市が地方最強の都市になった理由(木下斉 PHP 2018年)

福岡

地方創生がうまくいっている自治体としてよく取り上げられる福岡市。僕の知る範囲だと、高島市長という若いリーダーと民間企業のヌーラボをはじめとしたIT企業が中心となって「スタートアップシティ」としての価値を高めているような印象でした。

そのような取り組みについて紹介している本かなと思って手に取ったところ良い意味で期待を裏切られました。まちづくりは一朝一夕でなるものではなくて、大勢の方が熱意を持って福岡市に関わってきたからこその今があることがよくわかります。また、まちづくりを経営視点で捉えて戦略を実行して行くことの重要性も理解できる内容です。

まちづくりに関わる行政職員の方や、ビジネスを通じて地域をよくしようとする民間企業の方には特にオススメの一冊です。

以下、目次に沿って概要をまとめておきます。

第1章 まちづくりは「常識」を疑え!

■やれることではなく、やるべきことと向き合う
地方創生政策の計画づくりでは1〜3年間で達成可能な数値目標を立てて、PDCAサイクルを回すという方式がとられる。保守的な目標が置かれることが多く、「攻めの事業」を展開しづらい構造。

■流行りを無視して、逆を狙う
他エリアでの成功事例を参考にした流行りを追う事業は他エリアでも同時に展開されるのでうまくいかないことが多い。成功事例が成功事例になったのは、周囲とは違うことをリスクをとってやったから。

■量を求めず、利益にこだわる
長期的な戦略のない人口増加策は、将来的な衰退の原因になることもある。工業団地の作りすぎが好例。

■優秀な人材を役所に集めない
税金を投じて育成した優秀な人材が競争が少なく生産性の低い職場で働くことは大きいな損失。

■「変人」を大切にする
まちづくりとは常識を疑うこと。常識に従わない変人を寛容に受け入れ、活躍できる舞台を提供する。

第2章 福岡市は「ここ」がすごい!

・世界も認める福岡市!

・人口増加、日本一!

・優れた教育都市
政令指定都市の大学・短期大学数の比較では、福岡市は京都市、神戸市、名古屋市、札幌市に次いで5番目に位置し、人口に占める学生数は京都市に次いで2位。九州帝国大学を福岡市に設立したことをきっかけに多くの教育機関が福岡に作られるようになった。

・他都市も羨むコンパクトシティ
人口密度が高くインフラの投資効率が高いことに加えて、市内からのアクセスの良い福岡空港の存在。JR博多駅から5分。都心部の天神から11分。さらに職住近接でストレスが少ない。

・サービス産業が豊かな都市
レベルファイブやLINEのような企業群の集積によりクリエイティブイノベーション分野の雇用が促進。「年収は住むところで決まる」という本では、1つのハイテク産業が創出されると、その年の日ハイテク分野で5つの雇用が生まれると言われている。

・建設投資伸び率、第1位!

第3章 福岡市5つの「常識破り」

福岡市の個性が光るわけ
【常識破り1】民間主導・民間投資のまちづくり
【常識破り2】「競争」と「協調」で強くなる
【常識破り3】素早く「撤退」する
【常識破り4】周りに流されない
【常識破り5】伸びしろがあるのに、伸ばさない

第4章 福岡市を変えた10の「覚悟」

福岡市を変えた5人、10の覚悟

渡邉與八郎 土地を開発し、電車も走らせる[都市計画・都市開発] 【覚悟1】持ちうる私財は、都市発展のために投資する
【覚悟2】「理想」と「具体行動」を同時に展開する

松永安左エ門 地域外から刺激を与え続ける[インフラ整備] 【覚悟3】徹底的な合理化を進める
【覚悟4】行政事業ではなく、民間事業で人材を育てる

四島一二三 地域金融で、成長企業を育てる[金融] 【覚悟5】地域金融を通じて、若い産業人を支援する
【覚悟6】独立心を守り続ける

川原俊夫 オープンイノベーションで一大産業をつくる[商業] 【覚悟7】ノウハウを公開し、新しい産業を育てる
【覚悟8】稼いだお金を、地域に投資する

進藤一馬 アジアを見据え、市長を務める[市政] 【覚悟9】民間に任せる、現場に委ねる
【覚悟10】いち早くアジアとの交流文化事業を開始する

第5章 経営視点で見える「福岡メソッド」

経営の視点から見える、3つのポイント
【福岡メソッド1】制約から戦略を考える
【福岡メソッド2】新技術を味方につける
【福岡メソッド3】民間資金の力で「尖り」をつくる

第6章 福岡市の「制約」と「未来」

福岡市の未来を左右する4つの制約
【制約1】九州衰退のリスク
【制約2】「アジア」の多様な成長・衰退・混乱
【制約3】大学の国際競争、若い人材の獲得競争の激化
【制約4】急速な成長による凡庸化、過剰集積

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