【読書の記録】「お金2.0」佐藤航陽

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メタップスの代表佐藤さんによる、これからの経済や生き方に関する本「お金2.0」。お金の本質とは何かという話から始まり、価値とは何か?今後の生き方はどうなっていくのか?という本質的な話までとても勉強になる本でした。

目次にしたがって印象深かったポイントを記録しておきます。本書で多く紹介されている具体例は省いていますので、ぜひ書籍も手に取ってみてください。

お金の正体

お金とは何か?

まず現在の世界に影響を与える3つの異なるベクトルが「お金」「感情」「テクノロジー」である。その中でもお金の影響力は絶大で、人の生存そのものに影響するため多くの人がお金を稼ぐために人生の大半の時間を費やしている。一方でテクノロジーは意識されにくいが、世の中の大きな変化のきっかけを作るもの。最近起きている社会の変化も根底にあるのはテクノロジーの進化によるところが大きい。この3つのベクトルが共存していないと世の中を動かすことはできない。

そもそも、お金ができたのは「価値」をうまくやり取りする仕組みだった。価値の保存・尺度・交換の役割を担うもの。物々交換から貝殻や金属を使った物的価値のある媒介物の交換に移行し、それが物的価値ではなく信用に置き換わったのがお金というもの。このお金自体も本格的に世の中で使われ始めたのは18世紀ごろ。そしてこの変化が社会の変化のスピードを劇的に上げていった。市民革命により身分の影響が失われ、工場を作る原資であるお金にパワーシフトが起きた。さらに証券化などのスキームによりお金が金融商品として実体経済とは離れた場所で一人歩きを始めた。その中で、価値の媒介が目的だったお金が、それ自体の増大を指向してやり取りされるようになった。

最近では、お金については既存の金融の仕組みを破壊するような変化が起き始めている。その代表格がビットコイン。ビットコインをはじめとした非中央集権の通貨が普及することによって中央銀行の存在意義が問われ始めている。

経済とは「欲望のネットワーク」

経済とはネットワークそのもので、その経済を動かす原動力になる欲望は3つ。

①本能的欲求
②金銭欲求
③承認欲求

そして、人と人のつながりが生まれたり切れたりする動的ネットワークにおいて共通する特徴が2つ。

①極端な偏り
②不安定性と不確実性

人の手で経済は作れるか?

手軽にネットでサービスを作って世界中の人に使ってもらえる現代社会において、経済は「読み解く対象」から「創り上げて行くもの」に変化している。発展する経済システムを作るためにおさえるべき5つのポイント。

①インセンティブ(報酬が明確である)
②リアルタイム(時間によって変化する)
③不確実性(運と実力の両方の要素がある)
④ヒエラルキー(秩序の可視化)
⑤コミュニケーション(参加者が交流する場がある)

さらに、経済に持続性をもたらす要素が以下の2つ。

①経済システムの「寿命」を意識しておくこと
②共同幻想が寿命を長くすること

facebookやビットコインはこれらの要素が秀逸に表現されている。これらの要素は事業創造や企業経営においても同様に考えることができる。経済システムはうまくデザインできれば勝手に大きくなる。これからは製品やアイデアでの勝負ではなく、ユーザーや顧客を巻き込んだ経済システム全体の設計や運営での勝負になってくる。

テクノロジーが帰るお金のカタチ

テクノロジーの変化は点ではなく線で捉える

日々登場するIT業界のバズワードを点で追っていても何も見えてこない。世の中に起きている変化を1つの現象として理解することが必要。

例えば、現在世の中に起きている変化は「分散化」。これまでは中央銀行のような中央集権組織がシステムの秩序を整えてきたが、中央集権は「情報の非対称性・非リアルタイム性」を前提としている。そのため代理人や仲介者が必要だった。しかし現zないでは、多くの人がスマホを持ちリアルタイムに世界と情報をやり取りしている。コストのかかる中央集権である必然性が低くなっている。

国家を代替するトークンエコノミーの可能性

トークンエコノミーの既存のビジネスモデルとの大きな違いは、経済研がネットワーク内で完結していること。貨幣を用いて国家がやってきたことの縮小版をトークンを用いて個人や企業ができる。これまでに価格のつきにくかった曖昧な概念もデータとして認識できればトークンにして市場価値をつけることができる。(VALUやtimebankが好例)

価値主義とは何か?

資本主義上のお金というものが現実世界の価値を正しく表現できなくなっている。今後は可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わって行くことが予想できる。この流れを「価値主義」と読んでいる。

価値の3分類

①有用性としての価値(資本主義がメインに扱う価値)
②内面的な価値(愛情・共感・興奮・信頼など実生活で役に立たないが個人の内面にポジティブなもの)
③社会的な価値(慈善活動やNPOのように個人ではなく社会の持続性を高めるような活動)

②③は①に比べて曖昧なので、可視化や流通にテクノロジーの活用が不可欠。

この流れの中で、営利と非営利の境界線が消えて行く。消費者のネットの集合知の活用が進んだことにより、本当に価値のあるサービスを提供しないと利益が上がらなくなってきたので、価値と利益がイコールの関係性に。さらに経済と政治の境界線も消えて行く。これまで政治が行ってきたインフラ投資を企業が自社価値向上のためにやるようになっている。

AIやロボティクス技術の発展により、人は労働から解放されて行く。その中でベーシックインカムのような考え方が普及して行くとお金の相対的な価値は下がって行く。現在はお金には人を動かす力があるが、ベーシックインカムの世界においてはその効力は薄れる。

経済研は選ぶものに。複数の経済研から自分が好きなものいくつかを選んで生きて行く社会。その中で1つの会社に勤めるのではなく、プロジェクト型で働く世界がやってくる。

「お金」から解放される生き方

ミレニアム世代は人生の意義を持つことが「価値」になった世代。物質的な豊かさでがなく、目的や意義に価値を見出す。その中で、価値主義の世界においては「儲かること」から「情熱を傾けられること」に時間を使い、自らの価値を高めて行くことがより大きな利益を産むことになる。お金のためではなく、価値を上げるために働く。

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